ミライ
カエルくん
業務の効率化につながる便利さが魅力の電子契約。ただ、書面による契約よりも、多くのリスクがあることにも留意しておく必要があるよ。こちらでは、覚えておきたいリスクと、それらのリスクをおさえるための対策方法についてみていこう!
書面契約とは異なり、インターネット経由でおこなわれる電子契約。非対面で契約が締結されるかたちになります。そのため、契約相手が進めた締結処理のプロセスについて、その場で確認したり詳細を把握したりすることができません。そのため、正規の手続きがなされたどうか、確たる証拠を得ることは困難なのです。
また、無権代理やなりすましなどと契約を締結してしまうなどの可能性も高まってしまうという点も、留意しておくべきリスクだといえます。
書面での契約と比較して、発生のリスクが高まってしまうものとして「契約内容の改ざん」も挙げられます。書面契約の場合は、相手方が仮に改ざんをこころみたとしても、印鑑を偽造する必要が生じるため、改ざんは困難です。けれども、電子契約であればその必要がないのです。
あるいは、契約を締結する前にこっそりとデータを差し替えしまうことも、電子契約のほうがより容易にできてしまうと考えらえます。あるいは、あとからファイルを別のものに変更してしまうなどの操作も不可能ではありません。
情報漏洩のリスクについても、あらかじめ把握しておくことが大切です。企業が一度漏洩を引き起こしてしまうと、これまで築いてきた社会的信用特は、大きなダメージを受けることになるでしょう。セキュリティー面などで電子契約のデータの保管方法に問題がある企業の場合は、リスクが高い状態になっているので注意が必要です。
書面契約であれば、オフィス内のキャビネットなどに保管のうえ、しっかり施錠しておく方法で一、定の安全性を得られます。けれども、電子契約の場合、外部からのサイバー攻撃を受けるなどして、簡単に情報が漏洩してしまう可能性があるのです。
デジタル改革関連法によって、かつては電子化によって効力を持たせることが認められていなかった書類のうち、重要事項説明書・媒介契約書・定期建物賃貸借契約などについては認められるようになりました。ただ、現在でも、次にあげるものは、正式な電子化はできませんので、あらかじめ把握しておきましょう。
今後も法改正が行われる可能性があるので、書類の電子化に関する情報には注目していきたいところです。
電子契約を結ぶときには、電子署名を使用することをおすすめします。電子署名法に沿って電子署名を使用した場合には、電子契約が成立されたと推定できる状態になることが、法律でも定められています。
自社製の電子印鑑を押印するだけで契約書を締結する方法を取り入れている企業もあるかもしれません。けれども、その方法だと、なりすましなどをしやすくなるため、とてもリスキーです。できるだけ安全に運用するための対策としては、やはり、効力・有効性のある契約にするために、電子署名を導入して契約書だけでなく証明書も提出できる状態にしておくことが求められます。
タイムスタンプを活用することで、電子契約のデータ改ざんの防止につなげやすくなります。付与された時点から電子契約のデータに変更が加えられているかどうかがわかるようになるからです。
さらに念を入れておきたい場合には、契約締結前に完成形となる契約書を、あらかじめ弁護士などに確認しておいてもらうことをおすすめします。そうすれば、契約書と比較することで、差異についてしっかりと把握できるからです。
情報漏洩のリスクをおさえるためには、担当者だけでなく企業が一丸となり、サイバー攻撃に備えるためのセキュリティ体制強化につとめる必要があります。そのためには、全員がセキュリティの仕組みを理解し、意識を高めておくことが欠かせません。おすすめの対策方法として、次のようなものが挙げられます。
できるだけ電子契約導入のリスクを軽減するためにも、採用するシステムの選択は慎重に行いたいところです。セキュリティ対策が充実していることに加え、比較的法的効力が高い電子署名型を採用しているかどうかも、重要なチェックポイントとなります。
よりよい選択をするためにも、電子契約サービスの提供を扱っているベンダーや弁護士などに相談することをおすすめします。導入や運用方法などを一緒に検討してみてください。
紙の書面による契約よりも、より効率的に業務を進めやすくなる電子契約。ただし、これまでみてきたように、決して少なくないリスクをはらんでいる契約方法であることも事実です。
電子契約によるトラブルの発生や企業の信頼失墜などの事態を避けるためには、リスクを理解したうえで、導入や運用について、あらかじめ充分なリスク対策を講じておく必要があります。