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契約書の甲乙はどちらが弊社か

契約書の文中に「甲乙」が用いられていることがあります。契約書を読む・作成するといった際に、「どちらが自社でどちらが契約相手だったかな…?」と迷ってしまう方も多いでしょう。
ここでは、契約書における甲乙について解説します。

契約書の甲乙について

契約書に示されている甲乙は、呼び名や略称として使用されています。たとえば2社間で契約を行う際、契約書の文中には2社の名称が何度も示されることになります。しかし、毎回正式名称を記載していては読みにくいうえ、記載名を間違えるリスクもあります。そこで「甲乙」を使用することで、正式名称を記載する手間を省けるのです。

そもそも甲乙とは、古代中国の思想をルーツとした「十干(じっかん)」から由来しています。十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸からなっており、数字のような概念をもっています。

そのため、契約書では立場が上になる方を「甲」、立場が下になる方が「乙」とすることが多いようです。
本来なら甲乙に優劣はありませんが、契約書を作成する際は取引相手を「甲」、自社を「乙」にすることをおすすめします。

当事者が3人以上になる場合

契約書において当事者が3人以上になる場合、十干を順に使用します。+干は「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」からなっていますから、甲乙に続いて3人目は「丙」、4人目は「丁」ということになります。

甲乙のメリット

甲乙で記載された契約書には、複数のメリットがあります。「どちらが甲で、どちらが乙と記載するべき?」「使い慣れない」と悩んでしまうかもしれませんが、契約書には甲乙を使用することをおすすめします。

契約書を作成しやすくなる

甲乙を用いることで、契約書の雛形を作成しやすくなります。契約書の最初に自社と契約相手それぞれの正式名称を記載し、以降を甲乙とすることができるのです。「同じような契約を他社とも結びたい」という際には、最初に記載する契約相手の正式名称を変更するだけで済みます。

ただし、いくら便利な雛形があるといっても、流用すればOKと考えるのは危険です。契約相手によって適切なアレンジを加える必要があるでしょう。

短い文章で読みやすくなる

契約書は難しい内容になりがちです。さらに長い文章が連なっていたら、「読みにくい」と感じてしまうでしょう。契約書は当事者や第三者にとって読みやすくわかりやすいことが大切ですから、文章は短い方がベター。甲乙を用いることで、文を短くすることができ、読みやすくなります。

なお、契約書の甲乙は、日本で広く普及しています。甲乙を使用した契約書は、法律の専門家などにとっても読みやすいでしょう。

甲乙のデメリット

甲乙を用いることには、デメリットもあるといわれています。とくに甲乙の使用に慣れていない場合は要注意。甲乙を用いてスマートな契約書を作成したつもりが、トラブルの元となる恐れがあります。

主語を間違えるリスク

甲乙は読み方こそ異なるものの、どちらも漢字一文字という点は共通しています。また、甲乙を使った文章に慣れていない方も多く、契約書を作成する際に甲乙を入れ替えて記載してしまうリスクがあります。 たとえば「甲のみが損害賠償を負う」という文章において主語を間違えて捉えていた場合、本来記載すべき内容とは正反対の文章となってしまいます。

そのため、とくに重要な点においては甲乙ではなく、「秘密情報の受領者」といった明確な略称を記載することをおすすめします。

読み慣れていないと分かりにくい

契約書の作成や法律に携わる仕事をしていない方にとって、甲乙が何を表すのかが分かりにくいもの。契約書を読み進めていくうちに「あれ、甲はどちらの会社をさしていたかな?」と迷ってしまうこともあります。

甲乙をしっかりと理解しながら読み進める分には問題ありませんが、トラブルにつながる可能性がある場合は甲乙以外の記載も検討しましょう。