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契約書のPDF化は有効か

契約書をPDF化しても効力は有効です。PDF化にはさまざまな方法があり、それぞれにメリットとデメリットもあります。契約書をPDF化したほうが良いか悪いかは、理解したうえでの総合的な判断が求められるのです。

PDF形式でも有効になる

契約書をPDF化しても問題はありません。契約書の目的は双方が「契約を確かにしました」ということを客観的に証明できる文書です。契約は双方が合意して成立します。

ただし、契約自体は契約書の作成が必須ではありません。口約束でも証明できれば契約したと認められるケースもあります。

ただし、契約書はトラブルに発展した場合、成立の事実や条件を客観的に証明する文書です。証拠能力という点で紙の書類とは違う点もあります。また、契約書をPDF化して保存する場合は電子帳簿保存法の要件を満たさなければなりません。

電帳法の要件を満たす必要がある

会社法や税法では契約書の一定保存期間を定めています。締結をした契約書は、一定期間保存が必要です。PDF形式の電子データも同様ですが、電子帳簿保存法の要件を満たさなければなりません。

電子帳簿保存法は、原則紙の保存が必要な国税関係帳簿書類の全てや一部を電子データとして保存することを認めるものです。電子帳簿等保存以外にもスキャナ保存、電子取引という3つの方法による保存が認められています。

PDF化する方法

PDF化する方法は、スキャナの利用と、電子契約サービスによる契約締結という2つがあります。

スキャナでPDF化する

締結した紙の契約書をスキャンしてPDF化する方法です。電子帳簿保存法にはスキャナ保存の要件があります。要件を満たせば契約書を電子データとしての保存を認められるのです。

ただし、注意点もあります。書面の契約書は「2通の書面の作成。当事者双方が一通ずつ保管」という文言が記載されることが一般的です。双方が保管する紙の契約書は原本とみなされます。PDF化した契約書は原本ではなく原本のコピーとしての取り扱いです。そのため民事訴訟に発展した場合、紙の書類よりも証拠能力が低いと判断される可能性もあります。

電子契約サービスを使う

電子契約サービスを通じた契約の締結方法です。PDF形式の契約書を使って契約をします。契約書データには電子署名とタイムスタンプを付与することで、署名した書面と同等の法的証拠力を得られるのです。

契約書のPDF化と違って、契約書データ自体が原本となります。印刷書面を別途保管しなくても済むのはメリットです。契約書をPDF化する際、データ自体を原本とすることと万が一の際の証拠という点では電子契約サービスが良いでしょう。

PDF化するメリット

契約書をPDF化するメリットは複数あります。コスト削減とともに、作業や管理の効率化も可能です。

印紙代の削減

紙による契約書は印紙代や郵送費がかかります。契約内容次第で収入印紙も貼り付けなければなりません。また、契約書の作成から印刷までコストがかかります。

その点、契約書のPDFなら印刷や郵送が不要です。収入印紙も求められません。PDF化すれば他に仕事を抱えている方の負担も軽くなりますし、作業工数が減れば人件費を節約できます。

契約の効率化

書面での契約では、双方同意が必要です。契約内容の確認や署名捺印をすぐには行えません。一方が原本を作成し、印刷して、内容確認と署名捺印をしたうえで相手先に郵送という形になります。

相手先も同様に、内容の確認と署名捺印が必要です。郵送した場合、すぐには相手先に届きません。PDFなら郵送の手間も時間も省けるため、スピーディーな契約締結ができるでしょう。

管理の負担軽減

紙の書類だと、大量にあれば該当書類を探し出すのも一苦労です。契約内容の確認や保存期間を終えた契約書を廃棄する場合、労力もかかります。紛失リスクも大きくなるのがデメリットです。

一方でPDFならファイル名で簡単に検索もできます。必要なときもスピーディーに契約書を確認できますし、破棄も紙と比べて簡単です。PDFのほうが楽に管理できます。

テレワークを促進

テレワークを促進したい企業にとって、紙での契約は都合の悪いことも多いです。書面の印刷や押印や郵送など、テレワークでは難しい面があります。契約書の内容を確認したくても、出社しなければなりません。電子契約サービスなら、インターネットにつなげてあらゆるデバイスで契約手続きまで完結できます。PDF形式なら、出社しなくても簡単に内容を確認できるはずです。

紛失・破損を防ぐ

契約書には、第三者には絶対見られたくない機密情報が含まれていることも多いです。紙だと盗み見も簡単にできますし、盗難のリスクもあります。従業員でも、ちょっと確認のために見てからその後、どこに行ったかわからなくなるケースも置きうるでしょう。水に濡れて文字や押印が滲んだら大惨事です。

PDF形式ならパスワード設定もできますし、物理的な紛失リスクを抑えられます。電子署名とタイムスタンプによる原本性の担保もできます。

PDF化のデメリット

契約書のPDF化は多くのメリットがある一方、デメリットもあります。原本にならないケース、デバイスによる見づらさやコスト、システム障害などです。

紙からPDF化すると紙の契約書が原本となる

紙の契約書からPDF化した場合に注意が必要です。紙からのPDF化は、あくまで原本のコピーでしかありません。紙の契約書が原本です。そのためPDF化しても、紙の書類は、別途、管理と保存を求められます。契約関連でトラブルが発生した場合、原本である紙の契約書は証拠性が高くなる可能性があるため、裁判では不利になりかねません。PDF化するメリットの1つに管理と保存のしやすさがありますが、紙からのPDFはそのメリットがないのです。

デバイスによって全体像が見づらくなる

デバイス次第で閲覧しづらくなる可能性があります。パソコンやタブレットなどさまざまですが、表示の制限があると使いづらいでしょう。見づらくなりストレスがかかれば「やはり紙のほうがいい」となりかねません。

コストがかかる

書類をPDFにしたい場合、パソコンやソフトが必要です。そのためには対応できるスタッフが求められます。当然、パソコン、ソフト、スタッフに対するコストを考えなければいけません。

システム障害や故障の影響を受ける

システム障害や故障による影響は大きなデメリットです。仮に契約書をPDF化してクラウドに保管したとします。クラウドサーバに障害が発生すると、必要なときに書類のアクセスができません。パソコンに保存した場合、故障すれば閲覧できなくなる可能性があります。専門業者の手を借りないと契約書を取り出せないリスクも。もちろん、修復にはコストがかかります。

契約書はPDFしたほうが良いか確認する

社会的にペーパーレス化、デジタルの流れが加速しています。契約書もPDFにしたほうが、管理も保管も楽になるし時代に合っていると考える方もいるでしょう。大量の書類の保管や管理に苦労している企業や個人事業者にとってメリットはあります。一方で、デメリットも無視できません。

自社で取り扱う契約書をはじめとした重要書類をPDF化したほうがいいかは慎重な判断が必要です。デメリットよりメリットのほうが大きいなら契約書のPDF化の意味は大きいでしょう。