電子契約サービス53社からおすすめ3社を徹底比較 » 【タイプ別】契約書の電子化 » 【建設会社向け】請負契約書の電子化とは?メリットを徹底解説

【建設会社向け】請負契約書の電子化とは?メリットを徹底解説

建設業界にとって何より大切なものといえば請負契約書です。何をするのかは、請負契約書にすべて記載されているからですが、請負契約書の電子化が可能になりました。このページではなぜ可能になったのかや、メリットについてをまとめていますのでご覧下さい。

建設業界の電子化の現状

建設業界は電子化が進んでいるとは言えない状況が長らく続いていました。

実は2001年4月の法改正によって書面化義務は撤廃されていました。

早い段階での書面化義務撤廃で、これによって工事請負契約書の電子化、さらには電子契約が可能になりました。

早い段階で書面化義務が撤廃されたのですが、あまりにも早すぎたからなのか、電子化を後押しする動きは見られませんでした。

つまり、従来通り書面での契約締結が業界の慣習となっていました。

建設業法の改正と請負契約書の解禁へ

2020年、建設業法が改正されました。

業務効率化、生産性向上といった働き方改革を主題にした建設業法改正によって、著しく見近い工期での契約締結の禁止、社会保険加入義務化といったものでした。

その際、電子化の必要性が高まったことで、2021年9月、デジタル改革関連法の施工によって工事請負契約書だけではなく、工事請負契約前の見積もり、追加工事に伴う追加・変更契約の電子化まで可能になりました。

このように、法改正によって電子化が広く解禁されたことで、今後建設業界でも電子化が普及することが期待されています。

特に昨今は多くの建設業者が人出不足で悩んでいます。電子化による業務効率化・省人化に着手したいと考えている建設業者も多いのではと予測されています。

参照元: DAiKO+PLUS(プラス)|工事請負契約書の脱・紙取引|建設業法改正で電子に移行するポイント(https://www.daikodenshi.jp/daiko-plus/purchasing-control/construction-order-electronic-switching/

グレーゾーン解消制度について

これまで建設業界の電子化が進まなかった理由の一つにグレーゾーンと呼ばれる、少々解釈の難しい部分がありました。

建設業法施行規則第13条の4第2項にて規定されている「技術的基準」では、「見読性の確保」「原本性の確保」に分類できるのですが、この解釈が少々複雑でした。

見読性の確保とは読みやすさになりますので、モニターに表示するなどは該当します。一方、原本性の確保とは原本を保管することを意味します。

ともすれば「矛盾しているのでは」と思われるような解釈ができてしまうことからグレーゾーンと呼ばれていたのですが、経済産業省がグレーゾーン解消制度を用意しました。

電子契約システムが法解釈と矛盾していないか、経済産業省を通して照会できるシステムが生まれました。つまり、グレーゾーン解消制度によって認められている電子化サービスであれば、工事請負契約書等の電子化も問題ありません。

参照元:株式会社NXワンビシアーカイブズ|建設請負工事の電子契約が可能に。グレーゾーン解消制度を解説します(https://www.wanbishi.co.jp/datasolution/blog/electronic-contracts-for-construction-work.html

請負契約書の電子化によるメリット

請負契約書を電子化することで得られるメリットをご紹介しましょう。

業務の効率化

電子化によってオンライン上で契約締結業務が行えることから、相手先まで出向く必要もなければ、郵送する手間も省略されます。

また、メールやチャットツール等にて送信するだけでよいので時間もかかりません。

これまでは書面にて契約締結を行うために時間を捻出しなければなりませんでした。

忙しい建設現場の社員にとっては、契約締結が大切なものだとはわかっていても、そのためにわざわざ人と時間を費やすことに抵抗があった方も多いのではないでしょうか。

しかし電子化することで、わざわざ相手先まで出向く必要がなくなります。リモートでも契約締結が可能になりますので業務の効率化が期待できます。

費用の削減

請負契約書を作成するためには費用がかかりました。

インク代、印刷用紙代といった印刷費用は、契約書が多くなればなるほど増加するものでした。

しかし電子化することで、インクも紙も不要になりますのでこれらの費用を削減できます。

また、相手は収入印紙が不要になりますので双方が費用削減のメリットを享受できます。

セキュリティ・コンプライアンス強化への対応

電子化することでセキュア環境にデータを保管します。

契約締結まで可視化される点も含めてコンプライアンスの強化につながります。

また、電子化された請負契約書は管理が容易です。なぜならデータなので、書類として保管しているよりも簡単に確認できます。そのため、社内監査を行いやすいです。

法順守された契約書なのか、違反はないのかが確認しやすい環境となります。

また、紙の契約書のような持ち運び中の紛失リスクもありません。

請負契約書を電子化する上での注意点

お伝えしたように、請負契約の電子化には多くのメリットが待っています。

しかしメリットの裏にはいくつか注意しなければならない点もありますので、そちらも忘れずに把握しておきましょう。

「原本性・見読性・本人性」の確認

電子化のメリットを享受するためには、電子契約サービスの原本性・見読性・本人性の3点を満たしているのかが大切になります。

原本性とは、電子契約書が改ざんされないものなのかです。電子データは、簡単に加工できてしまいます。つまり、契約締結後に改ざんされるようでは契約書としての信頼性を損ねてしまいますので、契約締結後に改ざんできないシステムが求められます。

電子化された契約書をプリントアウトできるのかを意味する見読性、電子契約締結時に本人確認を行っているのかといった点の1つでも欠けている電子契約サービスは、残念ながら法律・規制に抵触する可能性があります。

そのため、電子契約の導入を考えているときには、これらを満たしているのかを確認しておきましょう。ポイントとしては公開鍵暗号の実装や電子証明、保存の有無等です。

グレーゾーン解消制度の範囲内か

先程お伝えしましたが、長らく建設業界の電子化が進まなかった理由の一つがグレーゾーンと呼ばれる、解釈の難しさです。

そんなグレーゾーン解消のために経済産業省が動きました。そこで、グレーゾーン解消制度で認められている電子契約なのかを確認してみましょう。経済産業省のシステムにて「問題なし」と判断されたものであれば、導入しても問題ありません。以降、電子化することで建設工事の請負契約をスムーズに進めることができますが、グレーゾーン解消制度で認められていない場合には、違反となる恐れがあります。

大切な部分となりますので、まずはグレーゾーン解消制度に照らし合わせてみると良いでしょう。