契約書の郵送はルールに従い、適切に送らなければなりません。いい加減にすると違法になるリスクさえあります。信頼関係を崩さないためにも、マナーや注意点を知っておくことは重要です。郵送方法の種類を含め、基礎知識をチェックしておきましょう。
契約書は信書として取り扱われます。郵便法や信書便法で「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定められているのが信書です。契約書だけではなく、請求書や結婚披露宴の招待状、許可証や証明証なども信書にあたります。
信書は法令で定められた方法で送付しなければなりません。日本郵便か、国の許可を得た企業による信書の郵送サービスの利用を求められます。信書は特別なものですから、「特定の相手」に対し確実な送付が必要です。
不安な方は追加料金を求められますが、配達状況や付着補償、相手に確かに届けたことを通知するサービスもあるため利用してみてください。また、信書は認められていない方法で送ると法律違反になります。
信書は適切な方法で送付しなければなりません。認められていない方法だと、違法とみなされます。認められていない方法として挙げられるのは、メール便や宅配便などです。違反すると「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」となります。配送業者だけではなく、依頼者も罰せられる可能性があります。
特定記録郵便や簡易書留やレターパックなど、信書を郵送する場合の法令で定められた方法は複数あります。
特定記録郵便の特徴は「引き受けた日時の記録が残る郵便サービス」です。配達状況や配達結果の記録を、インターネットで確かめられます。郵便物を確かに送ったという記録や証明にもなりますし、インターネットで手軽に確認できるため便利です。
ただし、ポストによる投函はできず、郵便局の窓口へ出向かなければなりません。受取人の押印や証明は残りませんが、配達した記録は残ります。普通郵便の代金に追加でかかる料金は160円(※)です。
※2024年3月26日時点の情報
簡易書留は引き受け日時、配達日時を記録できます。特定記録郵便と違うのは、受取人による署名や押印まで配達の記録が残る点です。契約書を送った相手に確実に届いたかどうかを確認できます。インターネットによる配達状況のチェックも可能です。
当日中、土日や祝日の再配達にも対応してもらえますし、配達日や希望の時間帯による再配達も依頼可能です。普通郵便代金に追加で320円(※)かかります。受取人に直接渡されますが、もしトラブルで届けられないような損害があると、5万円までの補償を受けられるのもメリットです。注意点として、郵便局の窓口まで持ち込まなければいけません。
※2024年3月26日時点の情報
専用封筒で、厚み3センチ、重量4キロまでの荷物を送れます。契約書以外に、資料も送りたい、書類を折りたくないというケースに適した方法です。また、特定記録郵便や簡易書留とは違い、専用封筒を事前に購入してポストへの投函もできます。配達状況もインターネットで確認可能です。
レターパックライトとレターパック、2種類から選べます。レターパックライトは全国一律370円(※)で受け取り側の郵便受けに、レターパックプラスは520円(※)で受け取り側と対面で配達できるのが異なる点です。専用封筒は郵便局以外にもコンビニでも買えます。
※2024年3月26日時点の情報
契約書を郵送する場合、マナーを守りましょう。守らないと印象が悪くなりますし、契約がスムーズに進まない可能性さえあります。
契約書は重要な書類です。契約書が「契約を結んだ証明」になるので、重要な書類を折り曲げるのは避けましょう。定形外封筒を使い、折らずに入れてください。
輸送中も想定してクリアファイルに挟んでから封筒に入れると、安全性が高まります。雨に少々濡れても、クリアファイルに挟んでおけば契約書への影響は抑えられるはずです。クリアファイルは新品で、模様の付いていない透明なものが適しています。
マナーとして送付状を添えます。送付状に書くのは、書類を送付する日付、相手や送り主の名前の他、本文としてあいさつ分や、書類の補足説明、返送への依頼内容や書類の名前などです。
送付状を見れば受け取った側は誰がなんのための書類かを正確に把握できます。返送が必要なら期日はいつか、返送方法まですぐ理解できるのです。送付状があると、受け取る側が個人ならともかく、企業なら封筒を開ける人間は誰になるか分かりません。当然、契約を締結した人間が開けるとは限らないのです。送付状を見れば、誰に届ければいいか簡単に分かります。
受け取り側の人に、契約書の署名や押印を求めるなら、返信用封筒と返送用の切手が必要です。封筒は自社の宛名を書いておきます。受け取り側は、封筒や切手を用意しなくても済みます。宛名を書く手間もかかりません。
返信用の封筒を用意すれば、契約の締結までスピーディーに進みます。受け取り側は必要事項があれば書いて、押印して、用意された封筒に入れて郵送するだけで済むのです。スピードを求め相手側の負担を軽くするためにも用意しておきましょう。
実は、押印の順番にも注意が必要なケースがあります。民間企業同士なら、契約書の押印の順番についての決まり事はありません。先に押印し、相手側に郵送して返送してもらうという方法も問題はないのです。
ただ、官公庁と契約を結ぶ場合は注意しなければなりません。国の契約事務取扱規則により、民間企業が先に押印するという決まり事があります。規定ですから「先に押印していただきたい」というわけにもいきません。民間企業と官公庁は違うということを念頭に、契約書を取り扱いましょう。
書類による契約書は昔ながらの方法で、年齢が高い方には常識のために苦ではないかもしれません。ただ、契約書を郵送する時間や手間を考えると、効率的にしたいという方もいるでしょう。その場合、電子契約を考えてみてもいいかもしれません。
電子契約ならインターネットを通じて契約を締結できます。宛名書きもしなくても済みますし、郵便局の窓口に出向かずに済みます。契約書を作る際のインク代や紙代などのコストもかかりません。
また、電子契約なら受け取り側に返信してもらわなくても済みます。電子契約なら課題を解決できるのです。スピードやコストを考えるなら、電子契約は選択肢として考えたほうがいいでしょう。