賃貸借契約書は、賃貸借契約を結ぶうえで欠かせない書類です。電子化が進んでいる今、賃貸借契約書も電子化で…という流れが見られています。ここでは、賃貸借契約書が今まで電子化できなかった背景と電子化するメリット・注意点を紹介します。
2001年に電子署名法が施行されてから、さまざまな契約の電子化が認められています。しかし、一部の文書は他の法律で書面化が義務付けられており、電子契約ができませんでした。その一つに「賃貸借契約書」があります。宅地建物取引業法37条によって、契約は紙で交わして押印することが義務付けられているのです。
しかし、2019年10月より電子契約化するための試みが開始されてから、当面の間試験的に実施することが決定されました。
この試みによって、賃貸借契約は電子化に向けて前進し始めています。
参照元:国土交通省
(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001483908.pdf)
電子化された文書は、収入印紙を貼り付ける必要がありません。そのため、印紙税のコストカットが可能です。特に不動産取引となると、必要な印紙は高額であることが多いでしょう。印紙税が不要になれば、不動産取引を行う会社にとっても大きなメリットです。
紙の契約書は、相手への送付をしたりそれを受け取って確認したりするなど、やり取りに時間がかかっていました。また契約書を印刷して製本し、さらに署名や押印をする…となると、かなりの時間がかかります。
賃貸借契約が電子化できれば、契約書の作成や送付はすべてインターネットで行えるため、今まで時間がかかっていた作業を行う必要がありません。契約がスピーディーに行えるようになり、業務効率化につながります。
電子契約は、第三者が文書の閲覧や改ざんができない仕組みになっています。紙の契約書と比較すると、電子化した契約書の方がセキュリティ面において優れています。
契約書のデータをクラウド上で保存しておけば、会社のPCが破損した、大規模災害に見舞われたという万が一の事態が起こっても、データの保護が可能です。
不動産取引に関しての電子契約化は、すべての書面が認められているわけではありません。導入された後も紙での締結・交付のみに限定されている書面があるため、電子契約化が認められている書類かどうかをチェックしましょう。
電子契約の導入は、自社だけでなく取引先にも対応してもらわなくてはなりません。電子契約を導入する会社は増加していますが、中にはセキュリティ面への不安から紙での交付を基本としている会社もあります。取引先が電子契約に対応していない場合、交渉して電子契約に対応してもらわなければなりません。