業務内容が人材不足や技術の問題によって自社では処理できない、もしくは外部に頼んだほうがより効率よく質の良い対応ができると判断した場合、業務委託契約書を交わして外部に依頼をする、というケースは建設業界においてよくあることです。さまざまな契約や文書の電子化が進む中、業務委託契約書の電子化も進められています。
ここでは業務委託契約書を電子化するメリットと注意点を紹介します。
建設業界における業務委託契約は、主に「請負」という形での契約が基本です。当事者の一方がある仕事の完成を約束し、それを請け負った相手方が仕事を行った結果に対し、報酬を支払うことを約束するという契約が「請負」です。
実は業務委託契約は、当事者同士で契約内容を了承していれば問題なく成立するとされており、書面の発行・取り交わしのルールは設けられていません。つまり、業務委託契約はそもそも書面の発行が義務付けられていないのです。そのため、業務委託契約書は電子化の法律の壁を気にする必要がなく、オンライン上ですべて契約を締結する電子契約が可能です。
紙で業務委託契約を交わすとなると、郵送するか相手に直接会って渡すかのどちらかで契約を結びます。しかし相手が忙しくしているとなかなか会う時間がない、というケースもあるでしょう。郵送するにしても時間がかかりますし、契約を締結するまでには時間がかかってしまいます。
業務委託契約書も電子化することで、相手がいつどこにいても受け取ることができ、内容を確認次第すぐに返送も可能です。スピーディーに契約が締結できます。
請負での業務委託契約の場合、記載された金額が1万円以上であれば収入印紙を貼り付ける必要があります。しかし電子化されている文書は印紙税法での課税文書の作成にはあたりません。そのため印紙を貼り付ける必要がなくなり、印紙税の削減につながるでしょう。
業務委託契約書はあくまでお互いの契約の確認のために契約書を作成しますが、契約を結んだという証明となるため、建設業界においても作成することが多いでしょう。電子化に当たっての注意点をふまえ、どのような契約書の作成・提示が良いのかを見ていきます。
業務委託契約書を電子化したいと思っていても、相手側の合意がなければ電子契約への移行は難しいでしょう。中には、電子契約に不安を感じて紙で契約を取り交わしたいと考える業者もいます。いきなり電子契約で依頼するのではなく、電子契約でも良いかどうかを確認してから送付しましょう。また、相手が紙での契約が良いという場合は、電子契約に関する依頼をしながら、相手と協議する必要があります。