ミライ
カエルくん
電子契約をするとき、タイムスタンプを付与してもらうことにはどのような意義があるのかな?タイムスタンプの役割・仕組み、そしてぜひ知っておきたいメリットをみていこう!
【タイムスタンプがもつ役割】
タイムスタンプとは、ある時刻に特定の電子文書が存在していたこと、そしてその時刻以降に文書に改ざんがおこなわれていないことが分かるようにするためのものです。つまり、文書の「存在証明」および「非改ざん証明」が可能になる技術だといえます。
第三者機関「時刻認証局(TSA)」が付与する現在のタイムスタンプが登場する以前から、電子文書にタイムスタンプを付与する技術はありました。ただ、そのシステムは文書改ざんに対して脆弱であったため、法的な証明としての使用はできませんでした。
【仕組みはどのようになっている?】
「ハッシュ値」という暗号と「時刻情報」の両方を取得の上、照合をおこないます。比較しながら検証できるので、より客観的に存在と非改ざん性を証明することが可能になります。タイムスタンプ発行の流れは次のとおりです。
「タイムスタンプ」と「電子署名」は混同されやすいですが、担っている役割も証明できる内容も異なります。
まずは電子署名についてですが、こちらは本人性を担保するものになります。つまり「誰が何を作成したか」を証明するのが目的です。紙の書類における署名と同じであると理解しておけばよいでしょう。
一方、タイムスタンプですが、こちらは存在および非改ざんを証明するものです。「いつ何を作成したか」を証明するのが目的です。
タイムスタンプは、電子文書がはらんでいるリスク、つまり改ざんやファイル複製、制作日時の変更などが容易であることによって生じるリスク対策として使用されています。
経済産業省では「完全性」「見読性」「検索性」「機密性」を満たした状態での電子文書の保管を推奨していますが、これらのうち、「完全性」を高めるためのツールとして、タイムスタンプは大切な役割を果たしています。「電子契約に改ざんがおこなわれておらず、データが正確であること」を示すための大切な要素なのです。
電子帳簿保存法に対応するためにも、タイムスタンプ付与は大きな役割を果たしています。契約書はさまざまな税法に沿って保存する必要があるわけですが、電子帳簿保存法においては、タイムスタンプの付与によってその対応がしやすくなるのです。
電子帳簿保存法とは、1998年の施行以来、ペーパーレス需要を後押しするために改正が繰り返されている法律です。定められている4つの区分のうちのひとつが、電子取引です。要件には「真実性の確保」が含まれますが、これを満たす方法は3つです。そのうち、時間や手間をできるだけかけずにおこなえるのが、タイムスタンプを付与する方法だといえます。
法律に対応するには1つの方法のみを選べばよいので、こちらを選択することをおすすめします。
電子契約を長期保存する際には、長期署名をしなくてはならないので、タイムスタンプの付与が必要になります。電子署名に使われる証明書の有効期限は、電子署名法により最大5年間と定められています。この定めに沿って、電子署名の有効期限を1~3年間ほどにしているケースが一般的なようです。
対して、法人税法上では、電子契約は短くとも7年間の保存が求められています。そのため、一般的な電子署名の有効期限では、電子署名の効力を保ちつつ、しかも法人税法の要件を満たすことができなくなってしまうわけです。けれども、有効期限前にタイムスタンプの付与をおこなえば、有効期限を10年間にすることが可能になるのです。
バックデートのリスクをおさえるための対策としても、タイムスタンプ付与が役に立ちます。電子契約が作成された日時を客観的に証明しやすくなるからです。ちなみに、バックデートとは、契約開始日よりも契約締結日が後にくる状態のことです。
もちろん、すべてのバックデートが不正であるということにはなりません。あらかじめ相手方と合意がなされているのであれば、契約開始日よりも契約締結日が後であっても問題はないわけです。一方、不正であると判断されるバックデートしては、次のような例が挙げられます。
タイムスタンプの付与により、電子契約の真正性が高まります。電子契約におけるリスクを軽減することにつながります。また、電子帳簿保存法への対応や著名の長期保存、そして不正バックデート対策としても活用できるので、ぜひ導入を検討してみることをおすすめします。